緩(ゆる)し





許すは「希(こいねが)う」もの

赦すは「捨て去る」もの



しかれども

許した覚えも赦した覚えもないというのに

「緩み」に漬け込む輩あり


許しでも赦しでもない「緩(ゆる)し」あり

そこは情けの水ゆえ通り抜け

やがて広がり禍霊(まがひ)が通る道となる


油断するゆえ緩みとなりて

緩んだとこから情けを引き出す

水を好んで行き来する

禍霊はまるで蛇のよう

スルスル情けの間を行き来し

人から人へと渡りゆく



渡った先で光食べ

宿に戻て宿主満たす

宿主満たせば我も満たされ

やがて気付けば八岐大蛇

四方八方情けを通り

宿主のためにせっせと奪う

宿主と共に自らも満たす



宿主の 奪う心の 在り方は

飢えと渇きに 囚われたゆえ


宿主の 思い禍霊を 惹きつけて

一蓮托生 抜けられぬかな





「緩し」を捨てて許さぬ自分を赦せ