荒鳴り成りて




自由気ままに自分勝手にやらせておけば

無人の野を進むが如し

文句を言われようが駄々を捏ねられようが

多くの人が『勝手気まま』である限り

無人の野を進むが如し

どんなに悪辣なことをしようが

どんなに非常なことをしようが

歯向かいさせず団結させず

我さえ良ければという思いを抱かせておけば

無人の野を進むが如し



どんな世界であれ

どんな時代であれ

どんな生まれであれ

どんな境遇であれ

勇んでゆける道がある


それを誰かのせいにして

それを時代のせいにして

それを世界のせいにして

それを生まれのせいにして

それを境遇のせいにして

勇み成さぬはただ哀れ

誰かのせいにしたその誰かと同じ

時代のせいにしたその時代人と同じ

世界のせいにしたその世界の人と同じ

生まれのせいにしたその生まれを冒涜し

境遇のせいにしたその境遇にかかわるすべてを冒涜し

ただ『成さぬ』理由を愚痴っているだけ

それはただただ哀れ



こんなにも勇む理由のある世界

こんなにも勇む理由のある時代

こんなにも勇む理由のある生まれ

こんなにも勇む理由のある境遇

それは自らの魂が求めたもの

自らの行いが生んだもの

自らの思いが叶ったものである


その自分の『思い』を忘れて

誰かが決めた幸せの『カタチ』に囚われ

誰かが決めた不幸の『カタチ』に囚われ

誰かが決めた善悪の『カタチ』に囚われ

誰かが決めた流れに身を任せ

自分の思いを捨ててしまえば

それは自分自身の尊厳を捨てたも同じ


尊厳なき人の世界は

無人の野を進むが如し


いくらこの目に『悪』と映ろうとも

おのれの『火』を燃やし勇んで進むもの

おのれの生を謳歌している『天晴れ』



なぜに多くの龍たちが

今か今かと待ちわびているのか


『龍は勢』

勇むものに『勢』を与える

勇み沸き立つ世界

勇み沸き立つ時代

だから多くの龍が舞う

されど人は勇み舞わず



おのれの『火』を起てず

おのれの身ばかり大事にして

いまだ情けで水浸し

それでは『火』は消え『勇』は起たず

『勢』を与える『龍』の出番なし


魂の望みと身の慾をすり替えて

我良し御魂はここに捨て置き

心に『火明かり』灯る魂

都牟刈の大刀で立て分ける



荒ぶる時が鳴り成りて

熱き時代に生まれしが

炎沸き立たぬ水浸し御魂

鳴門の渦と鳴り成りてゆく



望む世界は創りて生み出すもの

永遠に待てども願いは叶わぬ


望む世界を生み出す『悪神』

駄々こねず

腐らずに

勇み進む姿 天晴れなる



毒にも薬にもならぬより

『大悪党』に鳴り成りて

意地でも譲らぬその御霊

天晴れなるから神へと上がる



意地でも譲らぬ御魂なき世は

無人の野を進むが如し

だから世界は荒れている



荒(すさ)鳴り成りて 素戔嗚大神

都牟刈の大刀を振り下ろす

富士と鳴門の御魂の立て分け

火を宿す御魂か

水浸し御魂か



水浸し御魂ここに捨て置き

未来に火を灯す御魂連れて

螺旋の渦を登りゆく龍王

浦嶋の亀と変化して

御魂改めし龍宮の王なり



鶴は機織り織姫星

亀は龍王の彦星

鶴と亀が統べた世は

後ろの正面

後ろは過去で

正面は未来

過去のようで未来の姿

神話という名の予言なり